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コラム
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ニコラ・フィアット コラムニコラ・フィアット コラム

「心の痛みと柔らかさと母の思い」

痛みとは不思議なもの。たとえ、指先に、小さな棘が刺さっただけでも、とてもつらいものでしょう。痛みを怖がらないように思えるラガーマンも、ピッチから離れると、驚くような反応を見せることがあります。ティム・ホランがまだ現役だった頃、東京の街を一緒に歩いていて、地下鉄の入口で、ふと立ち止まり、態勢を整えてから、階段を下り始めた姿が、いまでも目に浮かびます。膝の痛みをこらえながら、階段を下りる姿は、その少し前、プレミアシップの試合で大活躍をする姿を見たばかりだっただけに、とても驚きました。命がけでレースに臨むF1ドライバーも同じ。親しくしていた、ジョニー・ハーバートという(当時)F1ドライバーも、サーキットを離れたところで見たのは、足の痛みを懸命に耐えている姿でした。しかし、身体の痛み以上につらいのは、心の痛み。悲しみが体と心を覆いつくし、手の指、1本1本の、先の先まで、その悲しみが宿るのを感じたことはないでしょうか。もちろん、心の痛みはつらいものですが、その痛みを知ることなしには、なにが大切で、なにが大切ではないかを知ることはできません。

伊達肇(だて・はじめ)選手の印象を、あるチームスタッフに尋ねたら、「マイペース」という返答。たしかに、試合後、待てど暮らせど、ロッカールームから出てこなかったのは伊達選手でした。マイペースというと、あまり良いイメージではないですが、以前、イギリスで、サラセンズに派遣されていたときの伊達選手は、同行している者の目には、そこでの生活を心底、満喫しているように映りました。言葉も習慣もまったく違う他国のチームに、短期間で順応できたのは、伊達選手の柔軟性ゆえだろうと思ったのです。

先ごろ、開幕戦の翌日に、電話で、いろいろな話を聞かせてもらったあと、しばらくして、伊達選手から、折り返し、電話がかかってきました。「高校、大学と、進学して、ラグビーを周囲から促されるように続けてきたのは、先ほど、お話したとおりです。ただ、もう一つ言わなければならないことがありました。それは、女手一つで、私を育ててくれた母の存在です。大学まで行くことに決めたのは、お金のことは心配しなくていいから行ってほしいと言ってくれた母のためです」。伊達選手(LO)が、その脚力を存分に生かし、30mを走りきってトライを挙げた今年の開幕戦に、そのお母さんは、応援に来られていた、ということ。「自らトライを挙げ、開幕戦にも勝てて、親孝行できましたね」と言うと、伊達選手は、柔らかに「はい」と一言。マイペースと言われながらも、この気持の柔らかさは、伊達選手の力の源。それは、きっと、お母さんの大きな愛情に、しっかりと育まれた、人の痛みを知っている、本当の柔らかさなのだ、と確信しました。

食べ物は、甘党? 辛党? と尋ねると、迷わずに、「甘党です」という答えが返ってきました。「ケーキが好きで、ショートケーキやモンブランは大好物」。喫茶店で、ニコヤカに、「ケーキセット!」と注文する、伊達選手の姿が、ふと目に浮かびました。

シャンパンは、どの銘柄でも、「Brut(ブリュット=辛口)」が大半です。それでも、口当たりはソフト。糖分がすべて酵母によってアルコールと自然な泡(炭酸ガス)に分解され、甘みゼロになったころに、1リットル当たり6g~15gの加糖をしたものです。Extra-Brut(超辛口)は1リットル当たり、加糖6g以下。「Demi-Sec(ドゥミ・セック)」は甘口です。女性や、お酒の飲めない人でも、このドゥミ・セックを口にすると、ホッとして気持が落ち着く、とよく耳にします。それは、ほんの少しだけ、甘みを加えることで、シャンパンにまろやかさと柔らかさが出るからのようです。そういう意味で、ドゥミ・セックは、心に痛みを感じるとき、ホッと、一息つけるシャンパンなのかもしれません。それは、その柔らかさゆえ、心の痛みに、作り手の愛情が伝わりやすくなるからではないでしょうか。甘いものも、辛いものも、それぞれの場面に合わせて選べるシャンパン。

人の心に勇気と感動を与えるラグビーも、その場面に合わせて、甘みと辛みを絶妙に使い分けるものなのでしょう。ときに、水牛のように激しく、ときに、海辺を行く水鳥のように柔らかく……。そんな魅力的なラグビーで、ファンを楽しませること。それが、ブルースのミッション(=使命)です。

宗像サニックス ブルース
チーム広報 野口眞弓

伊達 肇 だて はじめ

選手プロフィール
LO/FL
1981年10月26日生まれ(26歳)
188㎝/98㎏/大阪府出身/東生野中学校→昭英高校→愛知学院大学/九州代表(代表歴)
Words from Hajime
"ラグビーを始めたのは、中学で、兄を知っているラグビー部の顧問の先生に誘われたからでした。中学1年の頃は、とても細くて、ごつい体になりたいと考えていました。大学のとき、先輩の上田栄太さんが、サニックスで活躍するのを見て、自分も、社会人でラグビーを続けたいと思うようになりました。3人兄弟の真ん中で、とてもマイペースだと、他人からも言われるし、自分でもそう認識しています(笑)。たとえば、集合時間もギリギリで行ったり、食べるのが遅かったり、と。急いで、なにかをするのが得意ではないので、ブルースで一番、行動が遅いと思います"

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