
トップリーグ第7節
2006年10月21日(土)KICK OFF 12:00 東京・秩父宮ラグビー場
福岡サニックス ブルース vs日本IBMビッグブルー 28:17(前半 7:17)
(試合メンバー)
1.杉浦敬宏 2.松園正隆 3.上田栄太 4.渡辺正善 5.伊達 肇 6. 菅藤 友7.大庭正裕 8.ディオン・ミュア 9.籔本貴久 10.沼田一樹 11.永留健吾 12.松尾博文 13.ピラ・フィフィタ 14.大庭照光 15.古賀龍二 16.加古川雅嗣 17.篠原光弘 18.ハレ・マキリ 19.西端 要 20.鬼束竜太 21.堀田雄三 22.アマシオ・ヴァレンス
(試合経過)
試合開始から、キックを有効に使って、ブルース陣で試合を進める日本IBMは、前半10分、自陣ゴール前のペナルティから、SHが素早く仕掛け左に展開。最後はFLにパスが繋がり、そのまま左隅にトライを決められ、先制点を許した(0‐5)。続く21分、日本IBMにカウンターアタックからゴール前まで攻め込まれると、ラックから右に展開。最後はDFの隙を突かれ、CTBにトライを決められた(0‐12)。ブルースは32分、相手陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、最後はNO.8ミュアが押さえ、トライを決めた(7‐12)。しかし、前半終了間際の39分、日本IBMに自陣ゴール前のスクラムから右に展開されると、タックルで相手を止めるも、ボールを繋がれ、トライを奪われた(7‐17)。このまま前半が終了。後半15分、ブルースは相手陣ゴール前のスクラムから右に展開。WTB大庭(照)がラックを形成し、そこから左に展開。CTB松尾→LO渡辺とパスが繋がり、LO渡辺が相手DFの空いたところに走りこみトライを決め、差を縮めた(14‐17)。続く35分、ブルースは連続攻撃から相手陣ゴール前まで攻め込むと、ラックから右に展開。途中出場のSOヴァレンスが相手DFに隙ができたところを突き、そのままインゴールまで走り切りトライを決め、リードした(21‐17)。その後、39分にも、ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、最後はモールに入っていたSOヴァレンスが押さえ、トライを決め、日本IBMを突き放した(28‐17)。このまま、28‐17で試合はノーサイド。
「ホントに、ムカついたんです。いつもしていることが全然できてない。だから、何をしているんだ。気持を出せ、と怒ったんですよ」。これは、ハーフタイム中のロッカールームでの様子を聞いたとき、藤井雄一郎監督から受けた説明。IBM戦勝利は、このハーフタイム中の一喝で決まりました。ピンチを迎えると、本来、指揮官というものは、計算づくで、言葉を選ぶものなのかもしれません。ただ、試合が膠着したとき、あるいは、ピンチを迎えたとき、指揮官の心から発せられる、荒削りでも正直な言葉が、局面を救うこともあるのです。以前、中日ドラゴンズの川上憲伸投手から、「満塁のピンチのとき、監督が出てきて、"こういう場面は、緊張するんだよなぁ"とだけ言われて、すっかり気持が落ち着きました。大概の監督は、打たれてもいいから思い切り投げろ、とか言うんですけれど、この監督は違ったんです。それが、僕の場合は助けになりました」と聞かされたことがあります。それも、おそらく、指揮官が発した、計算抜きに正直な言葉が力を持った実例でしょう。人の心と体を動かす言葉というのは、一通りではないだけに、不思議なものだと、つくづく、思います。
試合終了後、ディオン・ミュア選手が、「チームは、忍耐力をつけてきたよ。良くなってきている」と表現していたように、記者会見でも、「我慢の時間帯での進歩」に質問が集まりました。藤井監督曰く、「ようやく、我慢に体がついていくようになりました」。つまり、それは、気迫が空回りすることなく、気力と体のバランスがとれてきたということなのでしょう。それは、紛れも無く、タフな練習の成果。古賀龍二キャプテンも、「技術的にそう変わらないとすれば、あとは、気持の勝負。前に出ることを心がけました」と言いました。試合の流れを変えるのは、体の動きとバランスがとれた、気迫であることに間違いはありません。
いつでも、気迫漲るプレイで楽しませてくれる松尾博文選手に、今回の試合の印象を聞きました。「前半はだいぶ攻められましたが、それでも、それほど差が開かなかった。それが、昨年までとの違いだと思います。終始、負ける気はしませんでした。一人ひとりの自覚も出てきたし、自信がついたんだと思います。有名なチームに所属しているからというだけで、日本代表に選ばれるような、エリート集団には、負けていない自信があるし、絶対に負けたくありません。見返したいと、いつも考えています。自分自身、血が上りやすい性質だと思います。B型の典型ですから(笑)」。
正直+前面+気迫+体+バランス。局面を変えられる秘訣は、ここにあります。