
2007/2008トップリーグ 第13節 [ 試合結果 ]
2008年2月2日(土)KICK OFF 14:00 福岡・博多の森球技場
福岡サニックス ブルース vs リコー ブラックラムズ 21:29 (前半0:29)
(試合メンバー)
1.杉浦敬宏 2.松園正隆 3.上田栄太 4.渡辺正善 5.鄭 智弘 6.西端 要 7.菅藤 友 8.ディオン・ミュア 9.天本俊輔 10.小野晃征 11.永留健吾 12.松尾博文 13.ピラ・フィフィタ 14.大庭照光 15.古賀龍二 16.加古川雅嗣 17.山際明信 18.伊達 肇 19.大庭正裕 20.鬼束竜太 21.アマシオ・ヴァレンス 22.堀田雄三
(試合経過)
ブルースのキックオフで試合は始まった。先制したのはリコー。13分、ゴール前のラックから、左に展開されトライを奪われた(0-7)。その後、18分にトライを決められると(0-12)、25分、28分、34分とトライを奪われ、0-29で前半を終了した。後半、先に得点をしたのはブルース。23分、自陣40m付近のスクラムから、相手がBKに展開したところを、途中出場のSOヴァレンスがインターセプト。タックルされながら、途中出場のSH鬼束にパスを繋ぐと、鬼束が、そのまま60mを走りきりトライを決めた(7-29)。続く、26分にも、LO渡辺が、相手のパスをインターセプトすると、相手DFを引きつけ、途中出場のLO伊達にパスを繋ぐ。伊達がそのまま30mを走りきり、トライを奪い、点差を縮めた(14-29)。ブルースは33分、ゴール前のラックから、SOヴァレンスが、相手DFのギャップを突き、そのままインゴールに飛び込み、後半3つ目のトライを決めた(21-29)。その後も、ブルースは攻め込むが、得点には至らず、21-29で試合は終了した。
マケドニア――ヨーロッパというものを考えるときに、ここは、とても興味深い場所です。マケドニアとは、東ヨーロッパ・バルカン半島中央部にあたる地域で、現在は、ギリシャ、ブルガリア、マケドニア共和国(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)の3国が、それぞれ、50%、10%、40%の割合で分けていて、そこでは、遥か昔、ギリシャ、ブルガリア、セルビアが、マケドニアを分けた国境線がそのままに残っているということ。通常、私たちは、人種、民族、言語、宗教といった要素を総合して、当たり前のように、自分自身のアイデンティティを決定していますが、このマケドニアでは、そういった単純な決定ができません。今も3つの国にまたがり、人種、民族、言語、宗教が複雑に入り組んだマケドニアという場所で、自分自身のアイデンティティは、自分でなにかを選んで決めるしかないのです。自分がなにものであり、自分がどこに属しているのかということを、自分の人種で決めるか、民族で決めるか、言語で決めるか、あるいは、宗教で決めるか。それによって、自分がギリシャ人であるか、ブルガリア人であるか、あるいは、マケドニア人であるかが変わってくる……。それは、国境線も、他のなにものも決めてはくれません。あくまでも、自分自身の意思でなにかを選んで、決めていくしかないのです。
涙もろい「人情家」の藤井雄一郎・ブルース監督が心から尊敬する人物の一人に、サッカー前日本代表監督のイビチャ・オシム氏がいます。そのオシム監督も、人種、民族、言語、宗教が複雑に入り組んだ旧ユーゴスラビアのサラエボ出身。1月30日に行われたキリンチャレンジカップ2008のボスニア・ヘルツェゴビナ代表戦で、久しぶりに、元気そうな姿が、ビジョンに映し出されて、読まれた前監督のメッセージは、「良いサッカーが勝利者となりますように」という、サッカーへの愛情あふれる言葉でした。オシム監督が尊敬されてきた理由を一言で説明すべきではないのでしょうが、この上なく複雑で厳しい環境のなかで、絶えず、なにかを捨て、なにかを選び続けてきたことによって育まれた、その「思想」が、サッカーというスポーツを行う上でのすべての取り組みや言葉に現れているからではないでしょうか。
トップリーグ最終戦に惜敗したあとの記者会見で、藤井監督は、「選手たちの調子は決して悪くはなかったけれど、なかなか、自分たちの形になりませんでした。トップリーグとは、そういう場所なのだということも実感しています。自分たちの蹴らないラグビーというものが、だいぶ他チームに分析されてきたことで、とくに、今シーズンの後半は、厳しい戦いを強いられました」と、話しました。これは、藤井監督らしい、格好つけない正直な言葉でしょう。そして、その実感から、もう一度、立ち上がって、ブルースは再スタートするしかないのだろうとも思います。
これで、今季のトップリーグで12位という順位が確定し、3月初旬に行われる入替戦の対戦相手もマツダ(トップキュウシュウ1位)と決まりました。今季トップリーグで12位という厳しい結果を受けて、現状をきちんと認識し、入替戦に向けて、目の前にある問題を一つずつ解決しながらも、それと同時に、「未来」へと繋がる大切なものを、今、ここで、選んでいく。その一連の作業を避けて通るべきではないでしょう。そのなかで、ブルースの「未来」を支える「思想」も、必ず育まれていくはず。そして、結果的に、次の入替戦を、「未来」へと繋がる内容にしていければ、ブルースにとっては、これは絶好の好機(チャンス)。今季の経験を決して無駄にしないためにも、どうしても、これは、絶好の好機と変えていかなければならないでしょう。
(ご報告)
福岡サニックス ブルースは、これで、今季トップリーグ全13試合を終了し、4勝9敗(勝ち点19)で、全14チーム中12位と確定しました(註:13、14位のリコー、三菱重工相模原が自動降格となり、11、12位の日本IBM、サニックスが入替戦へとまわりました)。詳細は改めてご連絡しますが、入替戦は、3月初旬に博多の森で行われる予定です。今季トップリーグ、これまでの熱いご声援、ありがとうございました。まだ、長い戦いとなりましたが、3月初旬の入替戦でも、これまでと変わらない熱いご声援を、なにとぞ、よろしくお願いいたします。
藤井雄一郎監督コメント
「今日の試合は、前半、離されてしまったことで、後半、追い上げたけれど、届きませんでした。怪我人のケアを含めて、入替戦にきっちり臨みたいと思います」
古賀龍二キャプテンコメント
「前半、あまりにもとられたことがすべてでした。自分たちがまだまだだということ。これを試練と受け止めて、ゼロから出直します」