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NZ航空コラム : AIR NEW ZEALAND

ニュージーランド航空コラム

「エア・ニュージーランド・カップの真実!」

 ニュージーランド国内ラグビーリーグの最高峰が、このエア・ニュージーランド・カップ(=ニュージーランド州代表選手権)です。略称はNPC。タイトルスポンサーをニュージーランド航空として、エア・ニュージーランド・カップと称されるようになったのは、2006年のこと。オールブラックスやスーパー14のような派手さはなくても、ラグビー王国ニュージーランドを根底から支えているのは、まさしく、このNPCだと言えるでしょう。今回は、その隠された魅力について、「ラグビーマガジン」編集長の田村一博さんに話していただきました。


カイト
ところで、NPCって何でしょう?
田村さん
田村さん
 スーパー12やトライネーションズといったスーパークラブ(いくつかの州が合同して代表選手を選出して作ったチーム)や国代表の試合は日本でも人気があり、広く知られていますが、NPC(New Zealand Provincial Championship/ニュージーランド国内州対抗選手権)も忘れてはいけません。これは、NZの全27地区の州協会代表チームが1、2部にわかれてそれぞれの優勝を争う大会で1976年に発足したもの。その後、3部制やプレーオフが導入される変遷はありましたが、1部はおおむね9~11チームが1回戦総当たりのリーグ戦を戦うシステムが取り入れられてきました('92年からは上位4強でプレーオフを実施)。
 その大会が大きく変わったのが、2006年のシーズンからです。各州代表チームが戦うプライドの重さはそのままで、大会の名称はエア・ニュージーランド・カップと変更。1部=10チームが続いていた最上位クラスが14チームに拡大されています。また、同カップ発足と同時に、下部リーグはハートランド・リーグ(Heartland Championship)という名称になりました。こちらには12チームが参加して6チームずつ2組で1次リーグを実施。その後、両リーグの上位3チーム同士(計6チーム)でミーズ・カップを、下部3チーム同士でロホア・カップを争うことになっています(ミーズ、ロホアとも、往年のNZ代表選手の名からとったもの)。
 ちなみに、エア・ニュージーランド・カップのそれぞれの優勝トロフィーは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の指輪をデザインしたイェンツェ・ハンセン(Jens Hansen)が制作したものです。

カイト
どこが強いのですか?
田村さん
田村さん
 2007年の大会でも優勝した北島の強豪、オークランドが17度の優勝と、ダントツの成績を誇っています。昨年の大会はフランスで行われていたワールドカップの決勝戦と同じ日に行われましたが、優勝したオークランドが2年連続で決勝に進出したウェリントンに23-14で快勝(エア・ニュージーランド・カップとなった初年度、2006年は、ワイカトが優勝)。NPC発足以来32年の歴史のなかでちょうど半分となる優勝回数を、17年ぶりの全勝優勝で飾りました。
 16回優勝のオークランドに続くのが、5回のカンタベリーで、ウェリントン=4回、オタゴ、ワイカト=2回。初代王者はベイ・オブ・プレンティーでした。

カイト
大会の特色は?
田村さん
田村さん
 地元サポーターの熱狂的な応援に支えられ、地区ごとに、特色のあるラグビーを展開します。NZ全土から才能が集まりがちなオークランドはランニング・ラグビーを展開し、オールブラックスの選手が多いカンタベリーは基本に忠実な攻守を見せますが、いつも心に響くラグビーを見せてくれるのが、NZでいちばん肥沃な大地と言われるハミルトンを本拠地とするワイカト。いつの時代も無骨なラグビーで相手に挑み、低く、まっすぐなFWプレーを軸にしたもっともNZらしい戦いぶりでファンを惹きつけます。2006年大会の決勝戦でウェリントンを37-31で破って優勝した試合は、ホームスタジアムに2万5000の大観衆を集め、多くの人々が感動したファイナルに。選手の情熱がほとばしる名勝負になりました。
 また地元意識が強いだけに、旺盛なライバル心も試合を盛り上げる要素のひとつです。たとえば、オークランドとノースハーバーの試合は、互いの地元(シティとノース・オークランド)がハーバーブリッジでつながっているため、その一戦はバトル・オブ・ザ・ブリッジと呼ばれ、とても盛り上がります。他にも、決勝戦などで南島チーム×北島チームのような顔合わせになると、もう対抗心バチバチ。気迫が勝負をわけることも多々あるので、シーズンに何度か多くの人を驚かせるアップセット(番狂わせ)が必ず起こるのも大会の欠かせぬ特色です。2007年にプレーオフ、準決勝まで進出したホークスベイは、その典型的なチームでした!

カイト
NZラグビーのなかでの位置づけは?
田村さん
田村さん
 以前は国内最高の選手たちが競い合う最高の大会でしたが、最近は、同じようにトップ選手の登場もありますが、ニューパワーが台頭する舞台にもなっています。スーパー14やオールブラックスの選手たちがNZラグビー協会と契約するのに対し、エア・ニュージーランド・カップの選手たちは各州協会との契約。つまり、次代を担う選手たちが多いというわけです。NZラグビーのグラスルーツであるクラブラグビーで活躍して各州代表のセレクターの目にとまり、州代表のデベロップメントチームやB代表で成長、そして州代表選手となるのが、世界の舞台へのぼっていく途中にある階段です。
 昨年の大会はワールドカップと並行して行われたため、オールブラックスの選手たちはフランスへの出発前にコンディショニングのため出場した選手が数人いただけ(オールブラックスが準々決勝で敗退のために決勝戦にはオークランド=ケヴィン・メアラム、ウェリントン=ロドニー・ソーイアロ、コンラッド・スミスが途中出場しましたが)。例年以上に、ヤング・プレーヤーにとってはチャンスが転がっているシーズンでした。それでも、強豪チームはスーパー14選手や元オールブラックスばかりですから、上位チーム同士が激突する試合のレベルは国内ゲームとはいえ国際レベル。ま、NZに来征してくる各国代表をやっつける州代表がゴロゴロしている国ですから、それも当然!?
 ちなみに、地元の人たちに言わせると、「クラブラグビーのスター選手と州代表選手の違いはタックル」なのだとか。「アタックだけの選手なんて州代表にはいませんよ」。

カイト
チーム愛は永遠!?
田村さん
田村さん
 地元サポーターに愛されている各州代表チーム。それぞれのジャージーには地元企業のスポンサーロゴがたくさん入っていることからも、ホームタウンに支えられていることがわかります。たとえば、オタゴのジャージーには、昔から地元で愛されているビール、スパイツの文字が。昨年優勝のオークランドの胸にはスカイシティー。これは、街のシンボルとなっているスカイタワーをはじめ、カジノやホテルを運営するエンターテインメント企業です。
 昨年、マナワツ代表スコッドに入り、以前にはNPC2部のミッド・カンタベリー代表としてフルシーズン活躍した経験を持つ四宮洋平選手(現・近鉄ライナーズ)の語っていた話が思い出されます。「(ミッド・カンタベリーの)チームメイトはみんな1部チームとの契約を夢見ていて、この国で日本人がラグビーをやってお金をもらう意味の重さを肌で感じました。そして、チームがどれだけ地元のファンに愛され、支えられているのかも。チームからもらえるお金は食事をすればなくなるようなわずかなものでしたが、パブに行けばファンに声をかけられるし、地元のホテルがスポンサードしてくれていたので泊まるところも与えられる。そういう文化が僕は大好きでした」。チームの勝利を願い激しく応援、負ければブーイングもしますが、それも不変のチーム愛があるから。そして、それがあるから大会の歴史は深まり続けるのです。

カイト
①今年の注目カードは? ②注目チーム、③注目選手は? ④いつ、どの試合を見に行くことを勧めますか?
田村さん
田村さん
 昨年優勝、大会最多優勝を誇る常勝オークランドのオークランドと、昨年はワールドカップのためオールブラックス勢を大勢欠いたカンタベリーの対戦。若手が伸びる前者が、ベテラン勢の顔ぶれも含め潜在能力ならナンバーワンのカンタベリーを相手にどう戦うか。北島の雄×南島の雄は、永遠のライバル。
 その両チーム以外では、魂のラグビーをいつも見せてくれるワイカト。SHブレンダン・レナードらオールブラックスの中でもいぶし銀のプレーヤーが、きっとアップセットで驚かせてくれる。
 注目選手は、オークランドのSOイサ・ナゼワ。奔放な動きが持ち味のフィジアンながら堅実なゲームメイクができるうえ、攻撃的なプレーも当然持ち味で、キレ、スピード、ハンドリングとも一級品。フィジー代表として1キャップを持つためオールブラックスにはなれないが、現在はフィジー代表にも興味を示していないため、インターナショナルレベルには登場しない。そのプレーを見られるチャンスは、スーパー14とエア・ニュージーランド・カップだけです。
 2008年の大会を見に行くなら、8月16日にクライストチャーチで激突するカンタベリー×オークランド。トライネーションズの途中のためオールブラックスは出場しないが、プライドのぶつかりあいは見ものです。

 以前、ブルースに所属し、日本代表としても活躍したルーベン・パーキンソン選手が、日本を去るとき、そのお別れの挨拶のなかで、「私は、日本で、マサ(松園正隆選手の愛称)のような、すばらしい選手に会えたことを、誇りに思います」と語りました。NPCの2部リーグ(当時)でプレーした経験を持つ、松園選手も、すでに、34歳のベテランHO。しかし、2007年シーズンは、トップリーグで全試合、先発出場。まさに、それは、獅子奮迅の活躍でした。スクラムワークに優れ、プロップもこなす。器用で、ハンドリングにも優れている。試合で、痛いことを嫌がらず、自ら体を張ったプレーを見せることで、チーム内で、厚い信頼を得ている……。そんな松園選手に、以前、数カ月過ごしたことのあるNPCのチームでの思い出を話してもらいました。

「2002年頃に、当時、NPC2部リーグだったマルボロというチームに4カ月ぐらい行かせてもらいました。クラブで活動を始めながら、代表スコッド入りを狙ったのですが、膝をケガして、手術のため帰国。それでも、あの4カ月は、私にとって、貴重な経験となりました。そのチームに所属していた選手たちは、ラグビー以外にも仕事をしていて、仕事を終わらせたあと、たとえば、200キロメートルも移動して、練習にやって来たりする。本当にラグビーが好きで、ラグビーのために、仕事を頑張って早く終わらせてグラウンドに来るんです。メディカルも、専属のトレーナーとかがいるわけではなく、ケガしたら、自分で、人を探して、なんとかするしかない。そういった姿を見て、日本に帰ったとき、自分たちの環境が、どれだけ用意された恵まれたものかということを実感しました。 昨シーズン、私が、仕事をしながら、トップリーグで頑張れたのも、NPCでの経験がベースにあったと思います。仕事をしながらも、ラグビーはラグビーとして頑張れると確信しているし、仕事のなかで、ラグビーでは知ることができないような、人との接し方とか、物の考え方とかを学ぶことができるとわかっているからです」

 信頼に足るベテランは、一日にして成ったわけではないでしょう。現在の松園選手のベースにあるのは、間違いなく、NPCでの経験でした。松園選手のように、すばらしい選手を次々と輩出していくNPCに、これからも、注目です!

ニュージーランド航空・マーケティング本部
中井啓介さんから一言
皆さんご存知の通り、ニュージーランドは「ラグビー王国」です。ご他聞にもれず、ニュージーランド航空にもラグビーをこよなく愛する社員が多くいます。以前、ラグビーがプロ化される前、つまりオールブラックスの国代表選手もアマチュアとして職業をもっていた時代、あの伝説の「アイスマン」ことマイケル・ジョーンズ氏(Michael Jones)は、弊社の社員でした。普段スーツを着て机に向かっている姿は、フィールドでプレーする同氏とは異なり、ビジネスマンとしての風貌をも兼ね備えていました。古きオールブラックスを知るラグビーファンには、伝説の選手です…。
Mayumi Noguchi / Blues Press Officer
先ごろ、また、日本代表に選ばれた、ブルースのハレ・マキリ選手も、以前、NPCのカウンティーズでプレーした経験がある
ブルースのアマシオ・ヴァレンス選手は、カウンティーズ、ホークスベイ、オークランドというNPCの3チームで試合に出場した
2007年シーズンは、トップリーグの全試合に先発出場した松園正隆選手
松園選手は、NPCでの経験から、ラグビーに対する真摯な取り組み方を教えられた
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